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■国家権力の暴走を止めるには…

 戦争法案の可決で敗北感を味わってる人も、少なくないだろう。

 しかし、このクーデターともいえる今回の事件の意味が、「国民が政治家に敗北した」ことだと理解しているなら、「さぁ、落選運動だ!」とか、「違憲訴訟だ!」なんてことは叫ばない。

 確かに、落選運動は、政治家個人にとっては恐ろしいことだ。

 もっとも、実際に自公の国会議員を次の選挙で落選させようとしたら、誰もが「勝算が見込める」と納得できるだけの具体的な戦略を多くの国民と分かち合う必要があるし、同時に選挙のプロを味方に入れない限り、勝ち目はない。

 また、違憲訴訟についても、たとえ最高裁が違憲判決を出しても、自公政権がそのまま選挙で多数派を占め、内閣や政権が新たな法律を可決させてしまえば、イタチごっこであり、事実上、司法によって安保法制が覆る可能性は極めて低い。

 では、国民は政治家の前に無力なのか?
 多くの国民に民主主義や国民主権の意味が十分に理解されないままなら、答えは「YES」だ。

 しかし、今回の敗北の意味を真摯に受け止め、「社会はそもそも民間と政治の両輪で作るもの」という認識を広く分かち合えるなら、答えは「NO」になる。

 統治権力を手にした与党が一番恐れるものは、何か?
 考えてみてほしい。
(もちろん、暴力・武力による革命ではないよ!)



●権力の暴走に歯止めをかけられる社会を
 作るため、人は仕事をする

 答え:「政治力でしかできない」と思っていたことを、民間の国民がでやってしまうこと

 民間人も政治家も、社会的課題を解決する仕組みを作ろうとしている点では同じ。

 そこで、民間が政治よりはるかに優秀な仕組みで費用対効果良く社会的課題を解決してしまえば、政治家の出る幕はなくなる。

 国民の多くが、「その政策、べつにいらないじゃん。俺たち民間人がすでに十分やってるし」と判断できる政策は、与党・野党の別なく政治家の間でも支持されない。

 たとえば、今きみがこの記事を見るのに使ってるパソコンやスマホは、民間企業の仕事の結果だよね?

 パソコンが作られる前、情報はIBMしか作れない大型コンピュータで管理され、専門技術者しか扱えなかったから、政府や大学など一部の特権的な人しかアクセスできなかった。

 そこで、スティーブ・ジョブズが、「情報を独占するんじゃねぇよ。誰でも情報にフリー・アクセスできる社会を俺が作る」と考え、Apple社を作り、今日では誰もがパソコンやスマホを利用できるようになった。

 政治力を使わなくても、民間の市民の知恵と努力によって、「情報が一部の連中に特権的に独占されている」という社会的課題を解決できたってわけだ。

 実は、このように民間で国民がそれぞれ自分の仕事を通じて、毎日のように政策よりも優れた解決の仕組みを作り上げ、政治家の存在価値や権力を低めている事例は、すでに世界中にたくさんある。

 もちろん、日本でも事例は日々増えている。

 たとえば、日本の障がい者が国に認められた福祉作業所で就労支援に通うと、1か月マジメに働いても、工賃は全国平均で月収1万3000円程度。

 しかし、そうした現状に「おかしい。これじゃ、障がい者の人権が守られない」と国の仕組みに怒った人たちの中から、自分で会社を作り、障害者を雇用し、健常者と同じ月収を実現させている「福祉起業家」も続々と増えている。

 子育ての仕事の両立も都市部で働く夫婦にとっては頭の痛い問題だが、「子どもを預けられるハコモノを増やせばいい」という政治や行政の作る仕組みでは、市民の満足度は決して高くない。

 とくに、小さい子はいつ病気になるか誰もわからず、そのたびに施設に親が預けに行っては、仕事が満足にできなくなり、退職勧告の不安とガマンを抱え続けることになる。

 そこで、東京周辺ではNPO法人フローレンスが「病児保育」を必要とするさまざまな市民どうしで助け合える仕組みを事業化している。

 このように、社会的課題を解決できる(政府や行政より優秀で満足度の高い)仕組みを作り出せるのは、民間の国民なのだ。

 そして、このように社会の仕組みを政府に頼らず、民間で作り上げる団体を「社会企業家」と言い、彼らの手がける事業をソーシャルビジネスという。
(※ITビジネスのことじゃないよw)

 こうしたソーシャルビジネスをここ10年、僕は取材してきた。

 日本全国にものすごい勢いで増えている社会起業家は、経産省も広報の面で支援しているが、政府にとっては応援する気もないらしい。

 とくに、自公政権のような「権力の暴走」を平気でやってしまえる政治家たちにとって、優秀な国民が増えては困るのだ。

 しかし、日本国民が立憲主義すら無視する「権力の暴走」を食い止めようとするなら、1人1人の国民が自分の仕事で社会の仕組みを変える責任者(=主権者)として働くことが必要不可欠だろう。

 それには、すでに優秀な解決の仕組みを作り出し、民間から社会インフラとして成功しているソーシャルビジネスから、一刻も速く学ぶことが求められてるんだろうと思う。



●学校やマスコミがつまらなかったら
 ネットから学び取ろう!

 誤解してほしくないのだが、ソーシャルビジネスは反体制の活動ではないってことだ。
 (もちろん、共産主義でもないし、市場原理主義でもない)

 政治と民間は、国民の苦しむ社会的課題を解決するライバルにすぎない。
 しかし、一方が圧倒的に力が大きければ、たちまちその力が暴走しかねない。

 だからこそ、政治と民間の力が拮抗し、常に「どちらが優秀な解決の仕組みを作れるのか?」という一点において緊張関係を保てるのが理想の市民社会であり、国家になる。

 しかし、社会起業家の社会的価値の大きさを、テレビや新聞は取材の怠慢から十分に報道しているとは言えないし、何よりも教育現場において国民主権民主主義の意味を十分に理解している人は決して多くない。

 あえて言うなら、国民にきちんと教えず、過半数がバカでいてくれた方が、とくに保守層の政治家にとって政権運営に都合が良いからだ。

 実際、自民党政権下では、他国と比べて日本の高等教育への進学率の伸び率は低いままだった。



 その結果、日本は世界第3位の経済大国でありながら、大学進学率は経済力では低い国々に追い越されており、最近になってようやく2人に1人が大学へ行けるようになったレベルなのだ。

 しかも、それは、大学に入れる学力を持ち合わせていないレベルの高校生の受け皿としての「底辺校」が増えたという事情も含まれるので、いくら知識をインプットしても、その知識の意味を理解して使えるだけの知恵を育んできたとは、とても言えない。




 それでも、今日の若者にはインターネットがあり、学校教育がどんなに品質の低いものであろうと、学ぼうという姿勢さえあれば、ネット検索で知識を蓄え、さまざまな人からツッコミを入れられながら知恵に育てられるチャンスがある。

 インターネットには、社会起業家の事業や課題解決の仕組み、関連書籍や動画など、学べるコンテンツがすでにたくさんそろっている。

 それまで「俺には社会を変えるなんて大きなことは考えても難しい」と思い込んでいたとしても、社会起業を知れば知るほど、「あれ? これ、スゲー面白いじゃん!」と気づく日が来る。

 そういう若い世代が増えた時こそ、権力を暴走させたがる政治家を国会に送り出す国民も減らしていけるだろう。

 民間で社会を変える仕事を面白がって始めれば、ダメな政策を平気でマニフェストにする立候補者を選挙で選ばなくなる国民も増えるし、自分の投票行動の意味の大きさに気づく人も増えるのだから。

 さぁ、デモの敗北から学び、希望を作り出す仕事を始めよう!


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