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■ネコにポーズをつけない写真集『猫とビートルズ』

 2016年12月7日から、『猫とビートルズ』(金曜日・刊/1296円)という本が全国の書店に並びます。
 Amazonでは、既に買えます。

 この本は、雨樹一期さんという写真家が撮影していた猫写真集に、僕(今一生)がビートルズの歌詞をわかりやすく分析したコラムをつけたものです。

 べつに、猫写真ブームに乗っかろうとしたわけではありません。

 むしろ、猫写真ブームに対する違和感を覚えていたところ、「雨樹さんの写真とコラボしませんか?」という話をフリー編集者の方から持ち込まれたので、やってみようと思ったのです。

 確かに、「ネコノミクス」と呼ばれるぐらい、猫に関するグッズは売れるようで、すでにさまざまな商品が出回っていますが、売れている猫写真には、どこか「いやらしさ」を覚えるんですね。

 はっきり言ってしまえば、「こういうポーズを人間はカワイイと思うんだろ?」という作り手の意図が見え見えで、儲けたい人間の都合によって不自然なポーズをつけられている猫ばっかり。
 それは猫写真集だけでなく、大手の広告代理店が作るTVCMにも見られます。
 猫で大儲けしたい人間の浅ましさが、透けて見えるんです。

 動物福祉の視点で言えば、「これって虐待では?」と思える無理そうなポーズもあれば、フラッシュを当てて猫の目の網膜を刺激してしまったと思われる写真もあり、人間のためにわざわざ可愛らしさを演出されていくようすは、男のために可愛い仕草を強いられる女性たちのようです。

 なので、本を作るために撮り下ろすのではなく、猫を飼っている雨樹さんが日常的に撮っていた写真のストックの中から選ぶのなら、猫にとってオーガニックな写真集が作れると思って話に乗ったんですね。

 では、なぜビートルズなのか?
 これは本書の「はじめに」に書いてあるので、詳細は読んでみてください。
 僕にコラボの話が振られ、ビートルズについて書いた経緯は、以下のとおりです。


●社会の仕組みのまずさを考えさせるビートルズの歌

 昨年(2015年)、僕は胆石の全摘手術で仕事を休むことになり、仕事とは関係なくビートルズの歌詞を100曲分、自分で訳してネットで発表していたんですね。
 彼らが歌っていたのは男女のラブソングだけでなく、増税・革命・ひきこもり・老後の孤独・シングルマザーの貧困・家出・ジェンダーフリー・平和など多岐にわたります。

 全部、2016年の現在にあるものじゃないですか!
 ビートルズがそれだけ社会性の高い歌を歌っていたなんて、知ってるようで、知らなかったのでは?
 50年以上前の楽曲なのに、ビートルズはむしろ50年以上も未来の現代人に語りかけるようなテーマを歌っていたんですよ。

 だから、50年以上も世界中の人々に愛されてきたわけですが、従来の日本語訳はわかりにくかったり、誤訳だったりしたので、改めて訳しただけでなく、日本語で歌える訳詞も作ったのです。
 もっとも、ビートルズの著作権管理は非常にうるさいので、訳詞をそのまま載せることができないため、12曲分の歌詞の内容をその中身に沿って解説するコラムにしました。

 労働者階級出身で低学歴の4人の若者だったビートルズは、ロックンロールを武器に、貧しいイギリスの最も貧しい港町リバプールからヨーロッパやアメリカ、アジアなど世界中に出稼ぎし、メシが食えるようになっただけでなく、世界中の老若男女にこの社会がどんな社会かを考えさせる歌を聞かせ、世界を変えようとしていたのです。

 そして、彼らの歌は世界中の人々に支持され、すべてのミュージシャンの中で一番たくさんレコードが売れた記録を今なお維持し続けています。
 金も学歴も経験も何もなかった若者たちは、本当に世界を変えたのです。


 しかし、猫は、いつの時代も人間の作る社会の中で生存権を脅かされています。
 近代国家では、野良が許されず、家の外で繁殖し、保護されては殺処分されています。

 だから、ただ猫が可愛いから買うのではなく、現代の人間が生きる社会を考えながら、その社会に猫だって生きていることも考えてほしかったんですね。
 誰でも知っているビートルズの歌詞を改めて深く読むことは、ただ人間のためではなく、人間の作る社会の仕組み次第で殺されたり、育てられたりする猫を思うことになるんです。

 社会の仕組みが思うようにならないまま、その仕組みに隷属してしまっている人は、自分が支配できる弱者を自由に動かしたいのかもしれません。
 しかし、それでは、猫も、女性も、たまったもんじゃないはず。

 女性はまだ「No!」という声を上げられるかもしれない。
 でも、猫が本気で嫌がってる「ニャァ!」という声は、多くの人間には届きません。

 僕は思うのです。
 猫と女性の本来の魅力は、なつかないことだ、と。
 他の人の言動で安々と動かないからこそ、そこに自由と尊厳があるのではないでしょうか?

 この本のキャッチコピーは、「権力の犬にはならニャイ!」です。
 力で左右される関係からは、おさらばしましょう。
 そのままの自分で生きていられる姿こそ、美しいのですから。

 そんなオーガニックな猫写真『猫とビートルズ』
 売れないかもしれないけど、買ってください。
 クリスマスや誕生日などのプレゼントとしても、喜んでもらえるでしょう。
 ポーズをつけなくても、十分、猫は可愛いし、美しいから。

 この本によって、一人でも多くの人が本来の猫の魅力に気づき、今後は猫に迷惑をかけない写真集が増えるといいな。
 だから、この記事も拡散してください。
 一緒に世界を変えよう!

【関連ブログ】
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