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■精神障がい者がカフェインレス商品を発想・NPO販売

 精神障がい者の働く場として「カフェピア」(左の画像)やネット通販サイトなどを運営するNPO法人レジスト(神奈川県川崎市/理事長・斉藤剛)では、気分や体調に合わせたオリジナルブレンドのコーヒーを開発し、販売している。

 精神病を患っても、コーヒーを飲む習慣は変わらない人は少なくない。
 カフェインには、精神科で処方される薬の副作用を緩和すると指摘する向きもあるからだ。
 しかし、カフェインを過剰摂取すれば、病状の悪化を招くとの指摘もあり、コーヒー好きの患者にはカフェインを控えなければならないという悩ましい問題が起こる。

 20129月に事務所を開設したレジストは、当初ブレンド1個だけで店や販売を試みた。
 だが、輸出入の関係で豆が入手できなくなった。

 そこで、カフェで働く2040代の精神障がい者たちの中から「自分たちにしかできないブレンドを作ろう」というアイデアが生まれ、ネットで検索してカフェインレスの豆を発見し、これを仕入れて焙煎。
 2013年1月頃からカフェで出すようにした。

 カフェインを97%カットし、向精神薬の服薬者や妊婦でも安心して飲める「カフェインレス」のブレンドだ。

「カフェの利用客は、精神障がいの当事者が78割。
 『カフェインレスがあるんですか?』と驚いて買っていく人もいます。
 焙煎の度合いを研究したため、『ふつうのコーヒーみたい』とか、『意外に安く買えるんだ』など好評をいただいています。
 毎週木曜に当事者どうしの集まりがあるんですが、そういうコミュニティではよく飲まれますね。
 ネット通販でもリピーターがつき始めています」
(斉藤さん)

 同店では、「カフェインレス」以外でも、リラックスできる「カルムブレンド」、スッキリとして集中力UPの効果が期待できる「クリアブレンド」などが楽しめる。
 今後は、社会貢献がしたいという元料理人の方から提供されたレシピをメニュー化した「ガンコカレー」とコーヒーが美味しい店にしたいという。



●当事者の価値をなるだけ高く売れる仕組みを作ろう

 精神障がい者だからこそ、自分たちにとって必要なものがわかる。
 どういうものが良いのか、悪いのかの判断もできる。
 これは、コーヒーだけの話ではない。

 いろんな商品・サービスに対しても、当事者にはコンサルティングができる。
 精神障がい者および精神病の患者は、公式統計では年々増えているからだ。


 上記は、精神障害者福祉手帳の交付数の推移だが、精神障がい者として認定されている方が、今日では約70万人もいるのだ。
 精神疾患の患者は、約320万人もいるようだ(下記)。
 これまで、こうした精神病の患者たちは、医療を受けたり、薬を買ったり、就労支援を受けることによって、医療従事者や薬品メーカー社員、福祉職などを食わしてきた。
 その根拠として、上記のような「患者数の増加」が根拠にされてきたのだ。

 しかし、患者が増え続けるということは、減ってない=病気を治してない疑いも多分に疑われる。
 そろそろ、薬漬け医療の餌食になる受け身の人生に甘んじるのではなく、精神疾患という経験に苦しんだ当事者として、自分たちに必要な商品・サービスを医療・福祉の分野に対して提案したり、新商品の開発現場において協働してもいいのではないか?

 前述したNPOのように、精神障がい者や精神疾患の患者と日常的に付き合いのある団体は、全国にたくさんある。

 そこで、ありきたりの就労支援で思考停止するのではなく、たとえば医薬品や食品のメーカー企業と組んで、「気分を落ち着かせるドリンク」や「人前であがりにくくなるキャンディ」のような機能性食品を開発し、協力費をもらうか、あるいは印税のように定価の〇%を売り上げに応じて支払ってもらうような取り組みをしてもいいように思う。

 そうした利益を一度NPOに入れてもらって、あとから協力した当事者たちに再分配する仕組みを作れば、商品開発を通じて、自分と同じように精神疾患に苦しんでる全国あるいは世界の人々を救う仕事をしたことになる。
 自分の仲間を救う仕事は、お金以上に誇らしいことだろう。

 精神疾患によって困っている日常的なエピソードは、当事者たちからたくさん集められるはずだ。
「ついついさみしくて電話してしまい、電話代がかさんでしまう」
「生命保険に入れずに不安だ」
「病気に理解の無い家族の中でますますこじらせてる気がする」
 …など、当事者にはそれぞれ具体的な困りごとがある。
 そうした声に基づき、NPOなどの支援団体自身が、それらの声に応える形で商品・サービスを開発してもいい。

 頻繁に同じ相手に電話を集中させてしまう時は、その相手だけに電話する時だけ、通話中に「ピコン、ピコン…」とカラータイマーの音が少しずつ大きくなって、早く切らないと相手の声が聞こえなくなるという仕組みを作ると、気遣いを学ぶチャンスにもなるかもしれない。

 精神病を嫌がる生命保険が無いなら、互助会のような形で掛け捨て保険を作れば、うっかり自殺未遂のような行為をしてしまっても、加入メンバーがいつも仲間で、みんなで支え合っている保険金で医療費やお見舞いや必要なものを買ってもらえた時に、自殺しなくていいコミュニティに自分がいることを実感するかもしれない。

 病気に理解の無い家族なら、引っ越し代や家賃も含めて当事者負担0円で入居できるシェアハウスを作ってしまうのもいいだろう。
 お金の代わりに、他の入居者のために掃除や炊事、日常用品の購入などの家事を担当してもらう手もある。

 前のブログで「1番ダメな人間が1番儲かるBAR」について書いたが、精神疾患で苦しんだ分だけお金に換えられる「価値転換」の仕組みは、もっといろいろな形で作れるはずだ。
 当事者たちが『間違いだらけの精神科医療』と題してシンポジウムという名の「ズケズケ言う座談会」を、医者や医学生、援助職や心理学科の大学生の集まるイベントでやってみてもいい。
 そして、入場料をきっちりもらって、収益を分配してもいいはずだ。
 そうしたことも、当事者たちと深く付き合ってるNPOスタッフの通常業務として位置づけてほしい。
 当事者たちと相談しながら、当事者の出来ることは当事者に任せながら、一緒に作ればいい。

 患者自身の「当事者の苦しみ」は、医療が蓄積してきた価値と同等以上のものである。
 専門家は数字で語りがちだが、患者は自分の言葉で語る。
 数字に還元できない豊かな価値を、当事者は持っている。
 それは、安売りできるものではない。
 自分の痛みは、自分のものだからだ。

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